はじめに。
2016年の4月から12月までの約9ヶ月間、カナダ西海岸ブリティッシュコロンビア州のバンクーバーに留学をしてきました。目的はTESOLという英語を英語で教える資格取得と、語学力をつけることの二点。キャリアアップを主軸に据えたものでした。この9ヶ月間は僕の人生の中で三本の指に入る最も勉強した時期かつ、最も価値観を揺さぶられた時期でした。この経験を通して学んだこと、得たものを共有することで、留学に興味がある人や海外での生活を憧れる人、カナダに行ってみたい人、英語を使ってみたい人、はたまた、僕と同様日本の英語教育・学習法に疑問を持つ人に何か有益になものを残せるかもしれません。少し長くなるかもしれませんが、9ヶ月分をギュッと濃縮還元した6つの項目で振り返っていきます。
英語力はどれくらい身につくの?
「もう英語ペラペラ???」
日本に帰ってきてから一番よくされる質問です。英語を勉強しに行った訳ですから、やっぱり一番気になるところですよね。答えは「ペラペラまでいかないにしても、意思は伝えられる」です。何を持って「英語を話せるか」というのは実に曖昧なので、英語の会話レベルを0~100で表にします。
僕のレベルは留学前20~30、留学後60前後だと思います。
留学前に一度、meet upを使ってハブで外人と話してみたのですが、ある程度聞き取れるけど言いたいことがなかなか言葉にならない状態でした。今は日常会話なら聞き取れる+意思は伝えられるレベル。好きなことや得意なジャンルであれば比較的スラスラ話せると思います。
留学する上で大事なのは「自分をどこまで持っていくか」の設定だと思います。現実問題、同時通訳者の90まで持って行くには日本語でも難しいような専門的な単語や、現地の文化を知らないとわからないジョークやスラングまで知っている必要があるわけですから、そうでもない限り、何が必要で何が不必要かを見極め、取捨選択して勉強しなければキリがありません。
多国籍な交友関係、クセの強いたくさんの友達
バンクーバーはマルチカルチャーな街です。僕が想像していたアメリカのドラマや映画上の街とは違ってアジア人や南米の人がめちゃくちゃいます。友達の国籍だけでも、カナダ、アメリカ、韓国、中国、タイ、台湾、メキシコ、ブラジル、サウジアラビア、ロシアと多様です。
特にたくさん友だちになれたのが韓国人で、もしかすると日本人より多く友達ができたかもしれません。教育環境が日本に似ていることや文化的なことが親しみやすい理由だと思います。
少しだけ韓国人の話を。彼らの恋愛時事情が日本とは全然違くてカルチャーショックを受けました。男子は基本的に女子に尽くします。これでもかってくらい、ものすごく。しかもロマンチックでなんでもない日にプレゼントしたり、花束をサプライズしたり、そういうのが結構当たり前だったりするみたいです。で、それが当たり前だと思ってる女の子も少なくないので男子に高いものを求めます。女の子はわりとものをハッキリ言う傾向があるので、日本の女の子とは案外対照的だったりすることも。
日本人って記念日そんなに作らないですよね。一年記念日とか、半年とか、多くても月単位だったり。でも韓国人は50、100、150、200日記念日や、5や10の倍数で換算して祝ったりするので日本人の数倍記念日があります。付き合った日を記録しておくと今日何日目か表示してくれる恋人用のアプリがあるそうです。
で、何がいいたいかというと、高いハードルを求める韓国女子に疲れた韓国男子は、笑顔で話を聞いて頷いてくれる日本人女子が大好き。韓国に限らずですが、やっぱり日本人の女の子は外国人にモテますね。そして日本の男子はロマンチックでもないしシャイなのでモテません!!!!残念!!!!!!!
ちなみに僕はものをハッキリ言う韓国の女の子が好きだったのでよく遊んでましたが、「ハンサムすぎてごめんね」と言うと大体「黙れブス」と返されます。そういうストレートなところもいいですね。
通っていた学校
留学期間のうち8ヶ月間をKGIC(KGIBC)という語学学校で勉強していました。内訳としては、
4月……ESLコース(レベル別で四技能をトレーニング)
5,6月……PMMコース(スピーキング強化)
7,8,9月……TESOLプログラム(Basic, Adult, Middle Schoolの3つ)
10月……バケーション(アメリカ旅行)
11,12月……TESOLプログラム(Test Preparation, Childrenの2つ)
といった感じです。
はじめの三ヶ月はKGICで、残りはKGIBCで学びました。KGIBCの”B”はBusinessの”B”なので資格取得のための学校で、受けるために必要な英語力のハードルも高いため周りには僕より喋れる人がたくさんいていい刺激になりました。
学校には日本人のアドバイザーや放課後のアクティビティコーディネーターがいたりと至れり尽くせりで、授業以外のケアが充実している恵まれた環境でした。特にはじめは友だちができるか不安ですが、アクティビティを通してたくさん友達を作れるのも良かったです。色々な催しに参加しましたが、ロッキーマウンテン旅行やハロウィンのコスプレ大会が思い出深いです。
ロッキーマウンテン旅行
ハロウィンのコスプレ大会
◆バンクーバーという街
バンクーバーは語学留学をするのに特に人気な都市の一つですが、 その理由として住みやすさが挙げられると思います。ダウンタウンと呼ばれる中心街はオフィスだけでなく国際色豊かなレストラン、多くの語学学校、買い物に便利なスーパーやドラッグストア、一息つけるカフェ、他にも図書館に美術館、オーケストラホールなどがありココにいればなんでも揃ってしまいます。
徒歩圏内ですが、バスを利用すればビーチやスタンレーパークという大きな公園にも数十分でいけます。ビーチは砂浜が綺麗なので流木にもたれて景色を見ながら友達をおしゃべりをしたり本を読んだりと、ゆったりとした時間の中でくつろぐことが出来ます。スタンレーパークはパークというだけあって公園ですが、日本の公園とは違ってでかいです。自転車をレンタルして外周を走るだけでも1時間半くらいかかるので、一日ピクニックに費やしてもおつりが来るくらい十分楽しめる場所です。
つまりバンクーバーは、都会・海・自然が一体となっている都市ということなんです。
気候に関して言えば、11~4月が雨季、4~10月は晴れが多く過ごしやすい時期が続くといった感じ。ざっくりですが。雨季は毎日雨でひどい時は一ヶ月に一日しか晴れ目が見えないなんてこともありました。なのでその前に留学を終えて帰国する人もわりと多いです。一方夏は毎日晴れ。気温も25度前後なのでちょうどよく、湿気もありません。日差しが強いのでサングラスを掛けてビーチでのんびり、なんて最高じゃないですか。
◆留学後に気づいた自身の変化
留学を経て日本に帰ると、人や環境の違い、友人からの指摘で今までの自分と違う一面に気がつくことがあります。例えば、
- (いい意味で)せっかちじゃなくなった
- 他人に優しくしたくなった
- スマフォを見る頻度が下がった
- 違いに寛容になった
- 言葉を大切にするようになった
- 気持ちをきちんと言葉にするようになった
- 健康志向が強くなった(食事・運動面)
- 自立心がついた
- なにかとスタバに行きたくなる、等
向こうにいた時は当然一人で生活していますし、なにか問題が起きた時は自分でなんとかしないといけません。そういった時「どうしようどうしよう」と焦っていても前に進めないので、「まあ、大丈夫っしょ」ととりあえず落ち着いてから動いたり、人に相談したり、誰かに気持ちを伝えてみたりして問題を解決するクセがつきました。
基本的に「どうにかなる」ことなんてなくて、その背景には「どうにかした自分」か「どうにかしてくれた誰か」がいるので、自分の責任は自分でとる、片を付けるようになったかなと思います。
あとカナダ人ってめちゃくちゃ優しいんですよ。知らない人でも「大丈夫?」って道で声をかけてくれます。日本に荷物を送るために25kgのダンボールを自宅から運ばなきゃいけない時、大雪で道中何度も死ぬかと思ったんですけど、バスで「重そうだな、それここに置きな」と荷物を台(?)に乗せてくれたおじいさんがいました。脚を骨折してるのかギブスをしてたんですけど、自分より他人を気遣える心の広さに感動しました。
みんなじゃないけど、日本人ってどこか冷たいじゃないですか。東京は特に。老若男女問わず自分の居場所を確保するのに必死で。自分自分じゃなくて他人を気遣えるようになろうと思えたのは大きいです。あと、日本人特有の「察し」文化とサヨナラするために、気持ちはきちんと言葉にするよう心がけるようになりました。これ地味に大事だと思います。
あとは、そうですね、向こうはカフェがたくさんあってよくスタバに行っていたので、こっちでも行きたくなります。蛇足ですがスタバカードを集めまくったので、その報告も後日記事にします。
◆これから留学を考えている人たちへ
留学をする理由は人それぞれだと思います。向こうで出会った色んな国の人と友だちになって、たくさん話して、価値観を共有して、毎日あれこれ考えながら留学する上で押さえておいたほうがいいことを僕なりにまとめました。
友達づくり
色んな人と仲良くなるといいと思います。が、頻繁につるむ人は選びましょう。僕ははじめ日本語を話したくなかったので日本人の友達をほとんど作りませんでした。英語がぜんぜん話せない/聴けない焦りもあったんだと思いますがとにかく周りを英語でしかコミュニケーション取らない環境にしていくよう努めました。おかげで、三ヶ月で英語耳ができました。
厳しいようですが、一年いても二年いても同じ国の人と母国語で話してばかりでは英語は身につきませんし、時間とお金の無駄です。決められた期間の中で最大の効果を発揮するための環境づくりは大切でしょう。ここは怠らないことをオススメします。
遊び
といっても、遊びも大切です。というか遊ばないと喋れるようになりません。何度も言っていますが、英語はコミュニケーションのツールなのでとにかく人と話さないと意味がありません。バンクーバーはカフェがたくさんあるのでコーヒー片手に数時間喋るもよし、スタンレーパークでサイクリングやピクニックするもよし、車を借りてドライブ旅行するもよし、なんでもOKです。山寺修司さんの『書を捨てよ街へ出よう』という本があります。家や図書館に引きこもらず、街に出ましょう。まあこの本は読んだことないので内容は知らないんですけどね。
ブレない目標
人間は弱いもので、意志の力に頼っていても周りに流されてしまうことが多くあります。「これやるぞ!」と思っても三日坊主、なんて経験ありませんか?
じゃあどうするか、まず留学中に達成させたい目標を作ります。なんでもいいです、外国人の友達100人作るでも、TOEIC800点でも。そして留学期間内ステップバイステップで目標を達成するために一ヶ月単位で目標を割って、さらに一週間で割って、じゃあ一日必ずやらなきゃいけないことは何かを考えます。
この逆算するプロセスが大事です。なぜなら人は「これやるぞ!」と思った時にその成長の段階まで考えていないので、現実とのギャップにやられます。成果はすぐに出るものではないので気長に待てないとしんどくなって辞めちゃいます。
話は変わりますが、勉強が何故大事かというと、この段階的な成長をテストの結果という形で知るという仕組みによって、「努力の積み重ね→確かな結果→達成感」の一連の流れを感じやすいからなんですよね。
話を戻しまして、僕ら大人は「そうすぐに結果は出ない」と頭に置いた上で「少しずつ目標達成に近づくため、今日しなければいけないことを決める」まで落とし込まなければいけません。目標設定はその設定をどれだけ詰めたかで大体決まるように思います。時間を惜しまずきちんと設定しましょう!
以上バンクーバー留学で学んだことのまとめでした。
帰ってきてから一ヶ月ほど経ちましたが、これからも懲りずに留学ネタを発信していくのでお付き合いお願いします。それでは今日はこの辺で。