自分が担当していた生徒が浪人した
一年前の話
心の底から悔しくて
責任を感じた
責務を全うできなかった
もっとこうしていれば
いろんな後悔の念が頭の中を駆け巡った
彼は河合塾で浪人することを選んだ
それから定期的に
必ず連絡をするようにしていた
調子はどう?
電車通学は慣れた?
勉強はどう?
進捗はどれくらい?
おれにとって、これは「責任」だと思ったからだ
誰に言われたわけでもない
心が、そうしたいと思ったからそうした
一度責任を持ってみた生徒
通っていなくても
できる形でサポートすると決めた
4月
5月
6月
7月
9月
12月
共通テスト前
一本の連絡があった
久しぶりにzoomで話をして
共通テストに向けてのアドバイスや
これまでの取り組みについて話を聞いた
きっと
辛いこと、大変だったこと
たくさんあったはず
でも
弱音一つ吐かず
明るく、前向きに、頑張ってきますと宣言し
入試をむかえた
その後
国立二次前になり
また連絡をもらった
すぐに電話をかけて話をした
大丈夫
これまで精一杯やってきた
共通テストリサーチはC判定が取れている
これまで通りやれれば
合格は十分掴み取れる
胸張って行ってこい
そう伝えて
僕は深夜1時過ぎに彼の家に行き
合格祈願のお守りをポストに入れた
喜んでくれたようで
受験会場の九州まで持って行ったようで
本人から嬉しいLINEがきた
お母様からも連絡をいただき
いよいよ本番間近
良い報告が聞けるよう
ドキドキしながら一日一日と待つ
結果は
不合格
ああ、そうか
悔しいな
目の前が真っ白になった
夢にまで見た大学進学
これだけやっても
第一志望には行けないのか
厳しいな
悔しいな
でも
前を向かないとだめだ
どこに行くかも大事
しかし
行った先で何をやるか
これが一番大切なんだ
EIMEI予備校ができた当初から
ずっと言い続けていること
彼を呼び出して
一緒に飯を食べた
これからの進学先のこと
そこで何を成し遂げるのか
色々な話をした
その頃にはもうすっかり吹っ切れていて
進学先で教授に見学させてもらった
施設の写真を見せてくれて
どんなことを学ぶか
どんなことに興味があるか
色んな話をした
彼はもう
しっかり未来を見据えていた
3月28日(月)
突然、連絡がきた
「追加合格で、九州工業大学に受かりました」
信号待ちをしていた僕は
驚きすぎて
爆音でクラクションを鳴らしてしまった
すごい
すごすぎる
これは、執念で掴み取った合格だ
こんなの、ドラマじゃないか
大学で学びたいことが明確で
そのためにずっと勉強してきた
うん、素晴らしいよ
君の未来は、きっと明るい
だから
胸を張って進学してほしい
4年間
精一杯学んで
精一杯遊んで
精一杯もがいて
将来おっさんになった時
あの時頑張ってよかったなと思える
そんな時間を過ごしてほしい